2026/09/18 10:00
グラスに口をつけ、そこへカレー風味の燻製ベーコンをひと切れ。スパイスの香りと脂のうま味が重なった瞬間、口の中で味わいがふっと変化するのを感じました。
産地だけを見れば、地中海に浮かぶシチリア島の赤ワインと、日本海に浮かぶ壱岐の燻製は、ずいぶん遠い組み合わせに思えます。けれど今日は、この二つが一つの食卓で出会った時間の話をします。

シチリア島、香辛料と赤ワインの食卓
シチリア島は地中海のほぼ中央に浮かぶ島で、歴史の中でギリシャやアラブなど、さまざまな文化の影響を受けてきました。中でもアラブとの交易を通じて伝わったシナモンやサフランといった香辛料は、今もシチリアの菓子や料理に息づいています。そんな食文化を持つ島から、今日はネロ・ダーヴォラの赤ワインを一本、壱岐の食卓へ連れてきました。

コルパッソ ネロ・ダーヴォラ アパッシメント、煮詰めたような果実味
一杯目の印象は、とにかく濃厚。口に含むと、果実を煮詰めたような甘い香りがふわりと広がります。このワインは、収穫したブドウを陰干ししてから仕込む「アパッシメント」という製法で造られていて、果実味の凝縮感が印象的です。それでいてタンニンは比較的丸く、飲み口はなめらか。身構えずに飲み進められる一本でした。

カレーの香りが、果実味に応える理由
このワインに合わせたのが、壱岐の燻製ベーコン(カレー)です。桜でじっくり燻したベーコンに、カレー粉とパプリカパウダー、はちみつ、ガーリックで味をつけた一品。スパイシーさの中に、燻香とコクが層になっています。
実際に合わせてみると、カレーのスパイスがワインの濃厚な果実味とよく呼応しました。スパイスが果実味を引き立て、果実味がスパイスの角を丸くする。そこへベーコンの脂と燻製の香りが加わることで、ワインの味わいがさらに濃く感じられます。一口飲んで、一口食べて、また次のひと口が欲しくなる。そんな循環が生まれる組み合わせでした。
食卓で楽しむなら
季節を問わず楽しめる組み合わせですが、少し肌寒さを感じる夜にはことさら似合います。ベーコンはそのままつまんでもいいですし、軽く炙って脂を香らせると、燻香がいっそう立ちます。
シチリアの濃厚な果実味と、壱岐のカレー燻製。生まれた場所は遠く離れていても、スパイスと燻香を挟むと、不思議とひとつの食卓に収まりました。グラスを置いたあとも、スパイスの香りだけがしばらく鼻の奥に残っていました。
今回のペアリングのポイント
陰干しブドウで仕込んだシチリアの赤ワインは、果実を煮詰めたような濃厚な果実味が持ち味。そこへ壱岐の燻製ベーコン(カレー)を合わせると、スパイスが果実味に呼応し、脂と燻香がワインの濃厚さをさらに引き立てます。凝縮した果実味と香辛料が、一皿の中で響き合う組み合わせです。
次回はどこの島か。
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