2026/09/07 10:00
壱岐は、麦焼酎発祥の地と言われている。
そのことは、当然知っていたし、意識もしていた。
それでも、壱岐で燻製をつくっている自分たちが、地元の焼酎とちゃんと向き合って味わったことは、実はあまりなかった。

そう思って、地元の麦焼酎「海鴉(うみがらす)」を用意した。
合わせたのは、うちの燻製たまご。
そこに、燻製マヨネーズをのせてみた。
まずは、燻製マヨネーズなしで、燻製たまごだけを食べる。
燻香がふわっと来て、そのあとに黄身の濃厚さが追いかけてくる。
これはこれで、いつもの味だ。
そこに、燻製マヨネーズをトッピングする。
マヨネーズの油分と酸味が加わることで、味の輪郭が少し変わる。
尖っていた濃さが、丸くなる。
そのぶん、もっと濃厚に感じる。
不思議なもので、油分が入ると、燻製の香りが引き立つ瞬間がある。
そのタイミングで、焼酎を口に含んだ。
一口飲んで、正直、驚いた。
口の中に残っていた燻製とたまごの濃さが、スッとほどけていく。
重かったものが、軽くなる。
その感覚が、思っていたよりずっとはっきりしていた。
しかも、ただ「流れる」だけではない。
燻製の香りと、焼酎の香ばしさが、どこかでつながっている。
別の飲み物と食べ物、という感じがしない。
同じ方向を向いている味、という感じがする。
考えてみれば、当たり前のことかもしれない。
麦を原料にした焼酎と、木を燃やして燻す燻製と。
どちらも、原料に火や熱を通して、香りを引き出すものだ。
違う工程でも、行き着く先が似ているのかもしれない。
たまごを食べて、焼酎を飲んで、また、たまごに手が伸びる。
たまご、焼酎、たまご、焼酎。
気づけば、その繰り返しが止まらなくなっていた。
「合う」という言葉だけでは、ちょっと足りない気がする。
合うというより、続けたくなる。
そのほうが、近い。
うちが壱岐で燻製をつくり続けているのは、壱岐の食材や壱岐の暮らしと、無理なく重なる燻製をつくりたいからだ。
今回、地元の焼酎を飲んでみて、あらためてそれを実感した。
壱岐の焼酎と、壱岐の燻製。
遠くから持ってきたもの同士を合わせているわけではない。
同じ島の中で、ちゃんとつながっている組み合わせだった。

今度は、燻製塩や燻製明太子でも試してみたい。
燻製明太子をあてに、焼酎をゆっくり飲む。
燻製塩を、そのままひとつまみ舐めながら飲む。
想像するだけで、もう気になっている。
もし手元に、燻製たまごと燻製マヨネーズ、そして壱岐焼酎があったら。
一度、たまご、焼酎、たまご、焼酎と繰り返してみてほしい。
きっと、「合う」だけではない何かが分かると思う。
