2026/09/04 10:00

バゲットにオリーブオイルをまとわせ、燻製カマンベールと燻製明太子をのせて、ひとくち。追いかけるようにワインをひとくち。チーズのコクと明太子の旨みが、舌の上でふっと軽くなっていくのを感じました。

フィアーノというシチリアの白ワインと、壱岐の燻製カマンベール、燻製明太子。産地だけを並べると、ずいぶん遠い組み合わせに見えるかもしれません。けれど今回訪れたのは、地中海の真ん中に浮かぶシチリア島。食卓にオリーブオイルとパンがいつも近くにある島です。



シチリア島の食卓

シチリア島西部には、パーネ・クンザートと呼ばれる郷土料理があります。焼きたてのパンを開いてオリーブオイルをまとわせ、そこにチーズやトマトなど手元にある具をのせて食べる、素朴な一皿。パンにオリーブオイルをまとわせ、そこに手元にあるものをのせて食べる、気取らない食べ方です。今回のバゲット+燻製カマンベール+燻製明太子は、パーネ・クンザートそのものではありませんが、その発想を借りて、オリーブオイルバゲットの上に壱岐の燻製をのせてみました。



フィアーノというワイン

Colpasso Fiano 2024年は、まず口に含んだ瞬間、するりとしたなめらかさが印象的なワインです。そのあとから、白い花のような香りと穏やかな酸が追いかけてきます。フィアーノというブドウの品種そのものを語るより、今夜の食卓にどう寄り添うかを考えたいワインです。




なぜ葦束の燻製と合わせるのか

燻製カマンベールは、外側にほのかな燻香をまとい、中はとろりと濃厚。燻製明太子は、旨みと燻製の香ばしさがひとつに調和しています。葦束のこの二つがバゲットの上で重なると、味わいはかなり濃密になります。そこへフィアーノの酸がすっと入り込み、濃厚な味わいをほどいていく。飲み込んだあとには、チーズのコクと明太子の旨み、そして燻製の香りがもう一度戻ってきます。一度で終わらず、また次のひとくちが欲しくなる。そんな行き来が生まれる組み合わせです。




食卓で楽しむ情景

平日の夜、少し肩の力を抜きたいとき。オリーブオイルをまとわせたバゲットに、燻製カマンベールと燻製明太子を、好きなだけのせてみてください。切って、のせて、注ぐ。それだけで、食卓の空気が少し変わります。

シチリアの食卓から借りたのは、パンに具をのせるという、ただそれだけの動作でした。そこに壱岐の燻製がのった瞬間、食卓は少しだけ遠い島とつながります。グラスを傾けながら、次はどう組み立てようかと考える時間も、今回の一皿のうちです。



今回のペアリングのポイント

シチリアの白ワイン・フィアーノの酸が、燻製カマンベールと燻製明太子の濃厚な味わいをすっとほどきます。飲み込んだあとにはチーズのコクと明太子の旨み、燻製の香りがもう一度戻ってくる、行き来する余韻が魅力です。

次回は、Colpasso Primitivoをご紹介します。

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