2026/06/30 12:00
燻製なら何でもおいしくなると思われがちですが、実は素材によって向き不向きがあります。燻製は、素材の味をそのまま引き出す調理法です。だからこそ、何を燻製にするかで、仕上がりが大きく変わります。葦束の商品を作るにあたって、素材選びには二つの基準があります。ひとつは「燻製との相性」、もうひとつは「壱岐産であること」です。
燻製に合う素材、合わない素材
燻製づくりを続けていると、素材によって向き不向きがあることがわかってきます。水分が多い素材は、燻製にするのが難しいです。煙が素材にうまく入らず、香りが定着しにくい。仕上がりも思ったようにならないことが多いです。壱岐特産の野菜なども試してみましたが、煙の香りがうまく乗らず、思ったような仕上がりになりませんでした。素材の良し悪しではなく、燻製との相性の問題です。逆に、しっかりと水分が抜けた素材や、脂を含んだ素材は、煙の香りをよく吸い込んで、味わいに深みが出やすいです。この「相性」を感じながら素材を選ぶのが、葦束の燻製づくりの出発点になっています。

アジの干物が教えてくれたこと
これまで試した素材の中でも、アジの干物は忘れられない存在です。燻製にしたとき、煙の香りがまっすぐ主役に立ち上がってきました。コクが深く、余韻が長い。口の中でゆっくりと広がる味わいは、酒のつまみとして、これ以上ないくらいはまりました。干物という、すでに一度旨みが凝縮された素材を燻製にすることで、こんな味わいになるのかと、正直驚きました。あの味を超えるものを作ろうと、今も思っています。

壱岐で作るなら、壱岐のものを使いたい
もうひとつの基準が、産地です。壱岐で燻製を作っているのだから、壱岐のものを使いたい。そういう気持ちで、アジの干物、卵、塩は壱岐産の素材を選んでいます。すべての商品が壱岐産というわけではありませんが、使えるものは使いたい。その気持ちは変わりません。壱岐のアジの干物、壱岐の卵、壱岐の塩。どれも、この島だから手に入るものです。壱岐の素材を使うことは、ブランドとしてのこだわりであると同時に、この島への敬意でもある気がしています。壱岐で作って、壱岐の素材を使って、壱岐から届ける。その一貫した流れが、葦束の燻製の味をつくっていると思っています。
「燻製との相性」と「壱岐産であること」。この二つが、素材を選ぶときに大切にしていることです。どんな素材を使っているのか、少しでも伝わったら嬉しいです。現在販売している燻製塩や燻製醤油も、こうした考え方で素材を選び、作っています。その味わいを楽しんでいただけたら嬉しいです。
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